現在、陸上自衛隊には戦闘ヘリとしてAH1SコブラAH64Dアパッチロングボウの2機種が配備されています。

なかでもAH1Sコブラは配備から30年以上が経過して老朽化が進んでいるため、置き換えが急務であるとされています。

この記事では、陸上自衛隊の次期戦闘ヘリ(次期AH)について、出てきた情報などをまとめていきます。

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AH1Sコブラ
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AH64Dアパッチロングボウ


戦闘ヘリは時代遅れ!?



戦闘ヘリは、かつては陸戦において極めて強力な装備でした。空からロケット弾や大口径機関砲を打ち込むことで、歩兵はもちろんのこと戦車や装甲車までもなぎ倒すことができたためです。
しかし近年、携行式対空ミサイルが普及してくると状況は大きく変わってしまいました。携行式対空ミサイルとは、対空専門のロケットランチャーのようなもので、歩兵が1人で持ち運びできるために歩兵が(手軽に)戦闘ヘリを無力化することが可能となったのです。
さらにミサイルの命中率も大幅に向上してきたため、最前線で戦闘ヘリが活躍できるような場面は大きく減ってきています。

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携行式対空ミサイルの代名詞である、スティンガーミサイル


つい最近ではイスラム国のようなテロ組織でさえ携行式対空ミサイルを所持しており、正規軍の戦闘ヘリを撃墜したりしています。

このような状況下で、戦闘ヘリが正規軍同士の戦闘で活躍するのはもはや難しいのではと言われており、前述のような流れから自衛隊でも戦闘ヘリの配備数を大きく減らすのではないかと言われています。



陸上自衛隊における戦闘ヘリ配備の経緯



2001年、陸上自衛隊では1970年代から配備されてきたAH1Sコブラの後継としてAH64Dアパッチロングボウを62機配備することを決定しました。
2006年から実際に陸上自衛隊へのAH64Dの配備が始まりますが、機体が極めて高価であることとアメリカでAH64Dの生産が終了したため部品の調達が困難になったことなどを理由に、結局13機だけを配備して調達終了となってしまいました。

このために、当初AH64Dで置き換える予定だったAH1Sが相当数残っており、それらの置き換えが問題となっているのです。



次期AHの候補



次期AHの具体的な候補はまだ公式に発表されていません。しかし選定作業は当然進んでるいるようで、一部では要求される能力として"艦載が可能であること"が挙げられているという情報もあります。


"Japan is seeking new attack helicopters capable of undertaking shipboard operations to replace its ageing Fuji-Bell AH-1 Cobra platforms."

"日本は老朽化したAH1コブラを置き換えるために、艦載任務を遂行可能な新しい戦闘ヘリを求めている。"

これが事実であれば、AH1Zヴァイパーが最有力候補となるでしょう。


候補1. AH1Zヴァイパー  (最有力候補)

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ベル・ヘリコプター社によって開発された戦闘ヘリです。2010年からアメリカ海兵隊に配備されています。艦載機として開発されたため、高湿度・高塩分濃度下での耐久性が高く、ローターを半自動的に折りたたむことが可能となっています。
自衛隊では近年、島嶼防衛戦力の増強が急ピッチで進められており、艦載可能な戦闘ヘリはその流れにマッチします。
実際に配備されれば、いずも型・ひゅうが型・おおすみ型護衛艦やおおすみ型護衛艦の後継の次期強襲揚陸艦などに艦載され、主に島嶼防衛作戦などに投入されると思われます。



候補2. AH64E アパッチガーディアン

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AH64シリーズの最新機種です。従来のAH64DがAH64シリーズのブロックⅡに当たるのに対して、AH64EはAH64シリーズのブロックⅢにあたります。

AH64Dと比べてエンジンが高出力のものに換装されているほか、レーダーや電子関連能力も大幅に向上しています。また、機体に複合材を多用することで防御力も向上しています。

さらに、2019年には無人攻撃機(UAV)であるMQ1-Cグレイイーグルを遠隔操作する能力も獲得する予定です。



候補3.AW249 (開発中)

AW249はLeonardo S.p.A.社がイタリア陸軍のA129 Mangustaの後継機種として開発している攻撃ヘリです。生存性と攻撃力の向上を最重要視して開発されています。

イタリア海軍の空母や強襲揚陸艦への艦載が想定されているため、自衛隊が要求する"艦載能力"を保有していると見られています。

しかしながら、この機種はまだ開発段階である上に、AH1Zの方が自衛隊が整備しやすい(現在も自衛隊に配備されているAH1Sと同じ系統のため)ということから、この機種が選定される可能性は低いと思われます。


結局のところは


実際のところ、次期AHとしてはAH1Zヴァイパーとなる可能性が濃厚です。
艦載能力・攻撃力・整備性などを考えれば、他の機種となる可能性はかなり低いでしょう。

しかし、まだ公式に機種候補すら発表されていないので、続報を待つしかありません。

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