イージス艦
ついに進水した新型イージス艦
海上自衛隊は2018年7月30日、JMU磯子工場(横浜市)で行われた命名進水式で新型イージス艦27DDGを"まや"と命名しました。また同型艦の建造も進められていて、これら2隻を含めると海上自衛隊は合計で8隻のイージス艦を保有することとなります。
基本データ
艦種 :ミサイル護衛艦
基準排水量 :8200t
満載排水量 :10250t
武装;
62口径5インチ単装砲
Mk.41VLS 96セル
17式SSM 4連装発射筒
68式三連装短魚雷発射管
CIWS 20mm機関砲
新型イージス艦建造の持つ意味とは
最も大きな意義はやはり、艦隊防空・弾道ミサイル防衛能力が大幅に向上することです。中国がイージス艦にも匹敵する高性能な艦隊防空能力を保持する艦を次々と建造したり、北朝鮮が弾道ミサイル開発を続けている現在、もっとも必要と考えられる防衛装備品のひとつです。
この艦の最大の特徴はNIFC-CAとCECの運用能力を持つことですが、これらについては後程記事にしていきたいと思います。
中国海軍055型駆逐艦
そもそも、弾道ミサイルとは何なのか
現在の日本の弾道ミサイル防衛は2段構え
第1段階: RIM-161 Standard Missile 3
第1段階は、イージス艦から発射されるRIM-161 Standard Missile 3 (以下、SM3とする)による迎撃である。イージス艦のVLS(Vertical Launching System/垂直発射装置)から発射されたSM3の弾頭が、弾道ミサイルに衝突することによって目標を破壊する。SM3の後継として、現在SM3 Block2Aを日米で共同開発中である。
イージス艦「あしがら」
弾道ミサイルを探知時の対応
探知した情報は米軍から自衛隊に伝えられ、迎撃の準備態勢が取られることとなる。
政府が破壊措置命令を出した場合は、ミサイルが日本の領土領海、場合によってはアメリカの領土領海に落下する可能性がある場合に破壊措置(=迎撃)が実施される。
北朝鮮がミサイル発射を頻発していることを受けて、政府は2016年8月8日から常時破壊措置命令を発令しており、この措置命令は3ヶ月毎に更新される。
現在の日本におけるミサイル防衛の問題点
まず、根本的な問題はミサイル防衛は完全ではなく、失敗する可能性も大いにあるということである。例えば、敵のミサイルが1〜2発程度なら対応が可能でも、同時に20発などとなると、全てを迎撃することは難しい。
残念ながら、北朝鮮からミサイルで日本を攻撃する場合、大陸間弾道ミサイル(ICBM)といった大掛かりなものではなく、中距離弾道ミサイルでも十分なのである。彼らは中距離弾道ミサイルであれば大量に保有しているため、多数のミサイルの同時攻撃というのは現実的にも十分にあり得る脅威なのだ。
さらに、弾道ミサイルの防衛にイージス艦が割かれている、このこと自体が憂慮すべきことなのである。そもそも、イージス艦の本来の目的は、弾道ミサイルを迎撃することではなく、味方の艦隊を対艦ミサイルから守ることなのだ。
つまり、貴重なイージス艦が弾道ミサイル防衛に割かれているということは、本来の任務が手薄になる可能性があるということなのである。
加えて、現在のミサイル防衛システム2段構えでは、前述の通り、ミサイルの飽和攻撃に突破されてしまう可能性が非常に高い。このことも大きな問題であろう。
また、ミサイルへの防御態勢は2段構えとは言っても、PAC3の射程は20〜30kmであり、非常に限られた範囲しか守ることができないのだ。実際に、PAC3によって守られているのは関東圏の人口密集地と全国の自衛隊基地や米軍基地、重要防護施設の一部に限られている。
つまり、日本の国土の大部分は、実質的にはイージス艦による一段構え