追記:2018.08.01
新型イージス艦の1番艦は「まや」と命名されました!
新型イージス艦 DDG179 まや 進水!」


(記事本文)
今回の記事では、海上自衛隊の新型イージス艦8200t型護衛艦について見ていきましょう!

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8200t型の予想図


そもそも、イージス艦とは?



イージス艦とは、アメリカで開発された"イージスシステム"を搭載した戦闘艦艇の総称です。名前の由来はギリシャ神話に登場する、あらゆる邪悪を防ぐ盾"Aegis"だと言われています。


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Aegis


その由来通り、イージス艦は極めて高い防空能力を持ちます。搭載されているSPY-1レーダーと情報処理システムで多数の目標を捕捉・追尾・攻撃できるのです。


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AN/SPY-1


さらにイージス艦はミサイルの種類を変えることによって対空任務の他にも対艦対地攻撃もこなせる、極めて高機能な艦艇なのです。



海上自衛隊のイージス艦は2種類


海上自衛隊には、現在イージス艦は2種類配備されています。それは、こんごう型あたご型です。


こんごう型は1990年から建造が開始された、海上自衛隊初・且つ世界初のアメリカ海軍以外の所有となるイージス艦です。全部で4隻が建造されました。ミサイル発射機はMk.41VLSを搭載していて、艦全体で90セルあります。また、全艦が弾道ミサイル防衛能力を付与されていて、イージスBMD3.6システムを搭載しています。

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こんごう型



あたご型は2004年から建造が開始された最新のイージス艦です。全部で2隻が建造されました。ミサイル発射機はMk.41VLSで、艦全体で96セルです。また、こんごう型と異なり、対戦哨戒ヘリコプターを艦載できます。ミサイル防衛能力は、建造当時は付与されていませんでしたが、2016年からイージスBMD5.0システムを搭載する改修を行っています。

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あたご型

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Mk.41VLS。上の蓋が開いて、ミサイルが発射される。


8200t型の変更点と特徴



・艦体を大型化。

こんごう型 (7250t)

あたご型    (7750t)

8900t型      (8200t)


・イージスシステムに最新のベースライン9Cを搭載。

こんごう型/1〜3番艦    ベースライン4

こんごう型/4番艦         ベースライン5

あたご型護衛艦            ベースライン7(*)

8900t型                        ベースライン9C



(*)現在はベースライン9Cへのアップデートを実施中。


・イージスBMD5.1システムを搭載。

こんごう型:   3.6

あたご型   :    建造当時は搭載なし / 現在は5.0にアップデート中

8900t型     :    5.1

・航空機・弾道ミサイル・巡航ミサイルへの同時対処 ( IAMD ) が可能。



主に以上4点であると思われます。



イージス艦を増備する意義


まず、近年問題となっている弾道ミサイルへの対処能力が大幅に向上にします。さらに、現行の6隻体制から8隻体制へとなることに加えて、イージスアショアが建設されることによりローテーションにも少しは余裕ができ、今まで弾道ミサイル防衛任務に貼りつかされていたイージス艦が、本来の任務である艦隊防空を行う余裕も出てくるでしょう。


いつ配備されるのか


現在、建造される予定の2隻のうち、1番艦はすでに建造が開始されており、今年(2018年)にも進水する予定です。2番艦は今年から建造が始まり、来年に進水する予定です。

【2018.10.19追記】
8200t型イージス艦の1番艦は2018.7.30に命名・進水式が行われ、"まや"と命名されました。
"まや"についての記事は簡単な内容ですが、以下をご覧下さい。



まとめ


このように、イージス艦増備は、弾道ミサイル防衛能力と艦隊防空能力を向上することができ、一石二鳥といえます。しかし、本当のところは、イージス艦はまだまだ足りないところですが、建造費が極めて高価なためにたくさんは配備できないのが実情です。

それでも、イージス艦のみならず、日本は少しずつでも装備拡充・高機能化を行って、この不安定な時代を乗り切って行かねばなりません。