はじめに


この記事では、分かりやすくするために"心神"という呼び方を使用しましたが、この呼び方は公式ではありません。



心神: 防衛装備庁と三菱重工が主体となり開発した、ATD- X (X-2 / 先進技術実証機) の非公式愛称。

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i3fighter : 日本が開発を計画中の次期戦闘機のこと。F35や、F22といった第5世代戦闘機のさらに次世代機を目指すとしている。

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X-2は、戦闘機ではなく先進技術を実証するための機体です。従ってX-2を元に戦闘機を作ったり、X-2が装備品として実際に配備されたりすることはありません。
一方で、i3fighterは前述の通り開発を計画中の戦闘機のことを指します。
以上の理由から、この記事では:

ATD- X / X-2 /心神  のことを まとめて「X-2」と、

i3fighterのことを「 次期戦闘機 」 と呼ぶことにします。


まず日本の次期戦闘機開発計画を見る前に、X-2について見てみましょう。


X-2開発の目的

X-2を開発した目的は大きく2つです。


自国のステルス技術や、推力偏向偏向パドル技術の出来を実際に確かめるため。


全世界に「日本はステルス戦闘機に近い機体を自力で製造できるのだ」とアピールするため。


①について

コンピュータの中や、模型などで実験しただけでは限界があるため実際の機体で技術を確かめる必要があったのです。


②について

次期戦闘機は技術や予算の問題上、国際共同開発となる可能性も大いにあります。その際、日本が技術を持っていなかったらどうでしょうか。そもそも相手にしてもらえない可能性もありますし、例え相手にされたにしても、開発の主導権を他国に握られてしまったり、高額の費用をふっかけられるといった恐れがあります。

こうならないためにも自国で技術を磨いておくというのは極めて重要なのです。


X-2の設計


X-2はなるべく、開発費用を抑えられるよに設計されました。機体自体が戦闘機と比べると小さく、T-4練習機のキャノピーやT-2練習機の脚部を流用しています。さらに、IHI製エンジン2基を搭載していますが出力は戦闘機と比べると小さくなっています。

また、極めて高度なステルス機能を有しており、レーダーにかなり映りにくくなっています。

さらに、推力偏向パドルを3枚備えています。通常の戦闘機では方向舵を動かすことにより機体の向きを変えます。しかし、X-2では方向舵に加えて推力偏向パドルを装備しています。推力偏向パドルはエンジンの排気口に取り付けられており、3枚の推力偏向パドルが連携して動くことでエンジンの排出ガスの向きを変えることができるため、極めて高度な機動が可能となったのです。

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X-2の今後


X-2は2017年10月30日の飛行で、試験を終了しました。政府は今後X-2の試験で収集した情報を元に、次期戦闘機を国産開発にするのか国際共同開発にするのかを決定するようです。
ただ、今までの予定では2018年の夏に決定する予定でしたが次期戦闘機の開発コンセプトがまとまらない中、政府はこの決定を延期するという情報もあります。





ほとんど未定のままの次期戦闘機


前述の通り国内開発か国際共同開発かも、戦闘機の開発コンセプトも決定していません。しかし、開発に関しては国際共同開発が有力視されています。理由はその膨大な開発費用です。


超高額の開発費用


戦闘機の開発は、大抵巨額の費用がかかります。例えばF35の開発には40兆円が投入されました。そして日本の今年度防衛予算は5兆1900億円です。F35がかなり開発費用を掛けた部類だということを考慮しても、いかに戦闘機の開発費用が巨額かが分かります。

さらに、最近では、戦闘機は国際共同開発が一般的となりつつあります。今後も超巨額の開発費用を惜しみなく投入できるのは中国くらいでしょう。

従って、日本の次期戦闘機は国際共同開発となるだろうという見方が有力なのです。


次期戦闘機の能力


以下は次期戦闘機に求められるであろう能力です。
ただ、まだまだ検討中の段階であり、今後追加されたり変更されることも大いに考えられます。

・ステルス機を発見できる高性能レーダー

・より高度化された情報能力

・無人僚機の管制能力

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危険な作戦も無人僚機を投入すればパイロットの安全を確保しやすくなります。

・スマートスキンレーダー

機体の表面にレーダーを埋め込んで全周360°の監視を可能にするレーダーです。


次期戦闘機今後


現在、様々な分野で予備開発が進められています。IHIは戦闘機に搭載可能なエンジンのプロトタイプ「XF9-1」を2018年6月までに開発する計画で、すでにエンジンのコア部分が防衛装備庁に納入されています。このエンジンはドライ時(アフターバーナー非使用時)11t、アフターバーナー使用時で15tの出力を実現するようです。

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いままで、エンジンの開発が不安視されていただけに、これは非常に大きな前進と言えます。 

このように、まだまだこの先どうなるか分からないi3fighter計画。また新しい情報が公表され次第、この記事を更新したり新しい記事を作成したりしてお知らせします。

以上、次期戦闘機開発計画について簡単にまとめました。

ここまでお読みいただきありがとうございます。


この情報は2018年2月5日現在の内容です。