極東ミリタリー情報館

主にあまり軍事関連に詳しくない人へ様々なミリタリー関連ニュースを分かりやすくお伝えします。

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自衛隊

自衛隊にF35A戦闘機を100機追加調達へ!トランプ政権とは無関係!

*2018.12.13 最新の情報に更新しました。線で消された部分は古い情報です、ご注意下さい。

*2018.12.13

航空自衛隊には現在導入中のF35A・42機に加えて、F35Aを63機、F35Bを42機追加で導入するとのことです。詳細とは最新の情報はコチラ



複数の報道によれば、政府は最新鋭のステルス戦闘機F35A100機、追加調達することを検討しているとのことです。
現在、航空自衛隊では2018年からF35Aの三沢基地への配備が開始されており、すでに42機分の取得は決定しています。
つまり、この購入が実現すれば航空自衛隊のF35Aは140機以上となるのです。


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航空自衛隊のF35A


【関連記事】
航空自衛隊にも導入された最新ステルス戦闘機"F35A"の実力とは!?」


現在の航空自衛隊主力はF15J


航空自衛隊で運用されている戦闘機は配備進行中のF35A含めて4種類あり、その中の主力は約200機のF15Jです。

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F15J
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F15J

F15シリーズには主にF15C(制空戦闘機: 対空戦闘を専門に行う)とF15E(戦闘爆撃機 :対空戦闘と対地戦闘の両方を行えるが、対空戦闘能力は制空戦闘機に比べて一般的に劣る)の2種類があり、空自のF15JはF15Cの日本仕様です。

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F15C

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F15E

ちなみにF15Cは、その派生型も含めて実戦での被撃墜0というとんでもない記録を叩きだしています。

F15Jは1970年代に配備が開始された戦闘機ですが、配備された時期でさらに2種類に分けることができ、最初の時期に配備されたものpre-MSIP後の方の時期に配備されたものMSIPと呼びます。
これらは外見に関しては殆ど差はありませんが、中身は大きく異なっています。




MSIPとpre-MSIPの違い


MSIPとpre-MSIPは主にコンピュータや通信関連に大きな違いがあります。

MSIPは数度に渡る近代化改修でレーダーや通信システム、戦術コンピュータを新しいものに換装しているので、まだ一応は前線で戦うことができるでしょう。

一方でpre-MSIPはレーダーや通信システム・戦術コンピュータがかなり古くなってきている(pre-MSIPのコンピュータはファミコン並みの処理速度で現在もフロッピーディスクが使われている)うえに、MSIPと機内の配線規格が異なるためにこれ以上の改修が難しくなっています。


追加導入する105機のF35は、ほぼ同数あるF15J pre-MSIPの置き換え


つまり、現在主力のF15JのうちMSIPは改修を加えながらまだ暫く現役で使う予定なのに対して、pre-MSIPはそのまま新機種に置き換えようというのが今回の話なのです。

しかし、この話は急に湧いて出たわけではなく、かなり昔から議論されてきました。しかもpre-MSIPの置き換えには実質的に最新の第5世代戦闘機しか選択肢が無く(F15Jは第4世代)、西側の第5世代戦闘機は現状F35とF22であること、さらにF22はアメリカが機密保持のために輸出禁止にしていることなどを考えると、pre-MSIPの後継はF35A一択となることが容易に分かるでしょう。

一部の人たちは、この追加購入を「トランプのご機嫌とり」であると非難していますが、今回に関してはこの批判は全くの的外れであることが分かります。


まとめ


もちろん、この追加購入はまだ正式に決定したわけではありません。しかし早かれ遅かれF15J pre-MSIP の置き換えは必要になるので、F35での置き換え自体はほぼ決定と見て間違いないでしょう。

お読みいただきありがとうございます。

【速報!】護衛艦いずもの空母化(F35B搭載)がほぼ決定!「多用途運用母艦」!

2018.11.27

複数の報道によれば、政府は新たな防衛計画を定める"大綱"に護衛艦いずもの空母化F35B(最新鋭ステルス戦闘機、F35Aの短距離・垂直離着陸型)導入を盛り込むことで最終調整に入ったとのことです。

【関連記事】

→「護衛艦いずもは"空母"となるのか?」

→「航空自衛隊にも導入された最新ステルス戦闘機"F35A"の実力とは!?」
注)F35BはF35Aの派生型であるため、関連記事として載せておきました。



護衛艦いずもの空母化には、

甲板の耐熱性を強化する
艦首CIWSの撤去

が絶対必要であり、それに加えて

・早期警戒ヘリの調達
・運用を海自と空自のどちらにするかを決める
・格納庫の拡張

といった様々な課題が予想されます。
しかし自衛隊が戦後70数年を迎え、ようやく「自分の国を自分で守る」ことができるように少しずつ変わっていけるのは良いことだと言えるでしょう。

詳しい情報が報道され次第、内容を書き足す予定です。
お読みいただきありがとうございます。


【次期AH・攻撃ヘリ】陸上自衛隊・次期AHはどうなる!?AH1Sコブラ後継機の最新情報!


現在、陸上自衛隊には戦闘ヘリとしてAH1SコブラAH64Dアパッチロングボウの2機種が配備されています。

なかでもAH1Sコブラは配備から30年以上が経過して老朽化が進んでいるため、置き換えが急務であるとされています。

この記事では、陸上自衛隊の次期戦闘ヘリ(次期AH)について、出てきた情報などをまとめていきます。

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AH1Sコブラ
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AH64Dアパッチロングボウ


戦闘ヘリは時代遅れ!?



戦闘ヘリは、かつては陸戦において極めて強力な装備でした。空からロケット弾や大口径機関砲を打ち込むことで、歩兵はもちろんのこと戦車や装甲車までもなぎ倒すことができたためです。
しかし近年、携行式対空ミサイルが普及してくると状況は大きく変わってしまいました。携行式対空ミサイルとは、対空専門のロケットランチャーのようなもので、歩兵が1人で持ち運びできるために歩兵が(手軽に)戦闘ヘリを無力化することが可能となったのです。
さらにミサイルの命中率も大幅に向上してきたため、最前線で戦闘ヘリが活躍できるような場面は大きく減ってきています。

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携行式対空ミサイルの代名詞である、スティンガーミサイル


つい最近ではイスラム国のようなテロ組織でさえ携行式対空ミサイルを所持しており、正規軍の戦闘ヘリを撃墜したりしています。

このような状況下で、戦闘ヘリが正規軍同士の戦闘で活躍するのはもはや難しいのではと言われており、前述のような流れから自衛隊でも戦闘ヘリの配備数を大きく減らすのではないかと言われています。



陸上自衛隊における戦闘ヘリ配備の経緯



2001年、陸上自衛隊では1970年代から配備されてきたAH1Sコブラの後継としてAH64Dアパッチロングボウを62機配備することを決定しました。
2006年から実際に陸上自衛隊へのAH64Dの配備が始まりますが、機体が極めて高価であることとアメリカでAH64Dの生産が終了したため部品の調達が困難になったことなどを理由に、結局13機だけを配備して調達終了となってしまいました。

このために、当初AH64Dで置き換える予定だったAH1Sが相当数残っており、それらの置き換えが問題となっているのです。



次期AHの候補



次期AHの具体的な候補はまだ公式に発表されていません。しかし選定作業は当然進んでるいるようで、一部では要求される能力として"艦載が可能であること"が挙げられているという情報もあります。


"Japan is seeking new attack helicopters capable of undertaking shipboard operations to replace its ageing Fuji-Bell AH-1 Cobra platforms."

"日本は老朽化したAH1コブラを置き換えるために、艦載任務を遂行可能な新しい戦闘ヘリを求めている。"

これが事実であれば、AH1Zヴァイパーが最有力候補となるでしょう。


候補1. AH1Zヴァイパー  (最有力候補)

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ベル・ヘリコプター社によって開発された戦闘ヘリです。2010年からアメリカ海兵隊に配備されています。艦載機として開発されたため、高湿度・高塩分濃度下での耐久性が高く、ローターを半自動的に折りたたむことが可能となっています。
自衛隊では近年、島嶼防衛戦力の増強が急ピッチで進められており、艦載可能な戦闘ヘリはその流れにマッチします。
実際に配備されれば、いずも型・ひゅうが型・おおすみ型護衛艦やおおすみ型護衛艦の後継の次期強襲揚陸艦などに艦載され、主に島嶼防衛作戦などに投入されると思われます。



候補2. AH64E アパッチガーディアン

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AH64シリーズの最新機種です。従来のAH64DがAH64シリーズのブロックⅡに当たるのに対して、AH64EはAH64シリーズのブロックⅢにあたります。

AH64Dと比べてエンジンが高出力のものに換装されているほか、レーダーや電子関連能力も大幅に向上しています。また、機体に複合材を多用することで防御力も向上しています。

さらに、2019年には無人攻撃機(UAV)であるMQ1-Cグレイイーグルを遠隔操作する能力も獲得する予定です。



候補3.AW249 (開発中)

AW249はLeonardo S.p.A.社がイタリア陸軍のA129 Mangustaの後継機種として開発している攻撃ヘリです。生存性と攻撃力の向上を最重要視して開発されています。

イタリア海軍の空母や強襲揚陸艦への艦載が想定されているため、自衛隊が要求する"艦載能力"を保有していると見られています。

しかしながら、この機種はまだ開発段階である上に、AH1Zの方が自衛隊が整備しやすい(現在も自衛隊に配備されているAH1Sと同じ系統のため)ということから、この機種が選定される可能性は低いと思われます。


結局のところは


実際のところ、次期AHとしてはAH1Zヴァイパーとなる可能性が濃厚です。
艦載能力・攻撃力・整備性などを考えれば、他の機種となる可能性はかなり低いでしょう。

しかし、まだ公式に機種候補すら発表されていないので、続報を待つしかありません。

ここまでお読みいただきありがとうございます。

ロシア空軍の新型ステルス戦闘機「Su57」の実力とは?


近年、特に極東周辺では急激に軍事装備の近代化・増強が進んでいます。中国空軍のJ20戦闘機に次いで、今度はロシアがステルス戦闘機であるSu57の配備を開始したのは前述のような傾向を顕著に表したものと言えます。


*J20についての記事はコチラ↓


この記事ではSu57の実力などについて見ていきます。

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Su57戦闘機



Su57とは?


Su57とは、ロシアのスホーイ社が開発した双発エンジンの第5世代ステルス戦闘機です。ステルス性能などの特徴を持つ第5世代戦闘機は世界でも現状、アメリカのF22、アメリカ中心の国際共同開発であるF35、そして中国のJ20のみです。
(J20は性能がまだ不明なため第5世代であると断言はできません。さらに中国で開発された"輸出用機体"であるFC31を含めることもあります。)

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F22戦闘機

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F35戦闘機

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J20戦闘機

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FC31


そして、Su57はF22にも匹敵するほどのステルス性能強力なエンジン先進的なコックピットシステムなどの特徴を持ちます。


Su57の特徴は?


ステルス性能

他のステルス機と同様、垂直尾翼を斜めに傾けて取り付けたり、エアインテークなどを工夫することにより敵のレーダー波を反射しにくくしているほか、エンジンの排気口に工夫することで機体から発される熱(赤外線)を抑えたりと、敵に探知されにくくなっています。

ただし、F22よりもRCS(敵のレーダーへの映りやすさの尺度。値が大きいほどレーダーに映りやすいので探知されやすい。)は大きいと言われています。それでもF22がレーダー上でゴルフボール大程度に映ると言われる中で、Su57はテニスボール大と言われていますから、差はそこまで大きくないようです。
尚、Su57のステルス性能がF22に劣る理由は後述します。


極めて高い機動性

Su57は、ステルス性能を少し犠牲にした代償として極めて高度な機動性を手に入れました。Su57は3次元推力偏向装置を搭載しています。
3次元推力偏向装置とはエンジンの排気口に取り付けられた可動式のパドルを動かすことにより、強制的にエンジン排気の向きを変え、従来よりも急な旋回・機動を可能にする装置のことです。

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推力偏向パドル(写真は日本の先進技術実証機・ATD-Xのもの)



同じように急な機動を可能にする物として、カナード翼が上げられます。しかしカナード翼はレーダー波の反射を増大させるのでステルス性能という面から見れば、不利になります。

余談ですが、中国の最新ステルス戦闘機J20はこの推力偏向装置を搭載せずカナード翼を付けているために、ステルス性能という面で見ればSu57に分があると言えそうです。

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J20のカナード翼


様々な任務をこなせる柔軟性

F22がほぼ空対空戦闘しか出来ないのに対して、Su57は対艦攻撃・対地攻撃も可能となっています。
さらにウェイポンベイ(機体にミサイルを収納するスペース)を2つ持ち、武器搭載量もF22より勝ります。
ただし、旧東側諸国のミサイルは西側諸国のそれよりも命中率が低いため、相対的に沢山のミサイルを携行するのが伝統となっています。


人工知能システム

Su57には、e-pilot という人工知能システムが搭載されています。この人工知能はレーダー・センサーからの情報や見方のネットワークを介しての情報を統合・処理することで適切な戦術をパイロットに提供可能であるとのことです。


最高速度

最高速度はマッハ2.0ほどで、F22と同様、さらにはF35よりも勝る速度性能です。ただ、最近は戦闘機の最高速度はその戦闘での強さを決定付ける重要な要素では無くなってきてもいます。



Su57の結局の実力は?



Su57の実力ですが、やはり最近出てきたばかりの機体で性能情報なども不足していることから、まだ分かりません。
しかし、空対空戦闘(近距離のドッグファイト)ではF22に勝利する可能性も大いにあると考えています。
また僚機とのネットワーク機能などはF35に大きく劣るものの、単純な空対空戦闘能力ではほぼ確実にSu57に軍配が上がるでしょう。




差が広がる日露の空軍力



中国にも言えることですが、ロシアは近年急激に軍事装備を近代化している一方で、自衛隊は予算不足もあって装備の更新は(隣国と比べて)遅れ気味です。

航空自衛隊は早急にF4戦闘機(ベトナム戦争時代の戦闘機)の後継機種であるF35Aの配備を完了させるとともに、F15J旧式機(自衛隊のF15Jの約半分)を置き換えていく必要があります。

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F4EJ改


さらに欲を言えば、早期警戒管制機空中給油機などをさらに増強する必要があります。


日本は来るときに備えて、その準備や備えを怠らないようにしなければなりません。






【随時更新】F3 (新型戦闘機・心神) 開発の最新情報!


最終更新 2019.2.4


○F3戦闘機とは?


F16を元に日米共同開発されたF2戦闘機の後継機の俗称です。


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F2戦闘機


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F16戦闘機


F2戦闘機はいわゆる"マルチロール機"・"戦闘攻撃機"に分類され、ある程度の対地攻撃能力強力な対艦攻撃能力を持つことから、後継機であるF3にもそれらの能力を持つことが求められます。



○F3戦闘機の開発を巡る経緯


前回のF2戦闘機開発の際に日本は最初、単独開発を望んでいました。しかしアメリカからの政治的圧力技術的要因、特に実用に耐えうる高出力エンジンの開発が難しかったことにより最終的にはアメリカとの国際共同開発に落ち着いた経緯があるのです。

しかも、そのアメリカとの共同開発で日本はかなり悔しい経験をしています。

というのも、なんとアメリカはその技術的優位を利用して半強制的に日本に最新のレーダー技術(日本の得意分野)を開示させたにも関わらず、戦闘機に搭載するソフトウェアのソースコードは開示しないという舐めっぷりだったのです。
(現代の戦闘機においては、ソフトウェアのソースコードが極めて重要で性能を大きく左右する)

さらに開発費は高騰し、機体単価も当初予想より大幅に増え、計画配備数を満たす前に製造を終了してしまいました。

(ただし、F2はその後の改修により今ではかなり良いものに仕上がっています)

これらの経緯から日本は、独自でステルス技術・レーダー技術・戦闘機用高出力エンジンの研究を進めてきました。

あのATDX(X-2)と呼ばれる技術実証機はこれら地道な研究の賜物なのです。


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ATD-X

*ATDX(X-2)についてはコチラ↓


そして今回のF2後継機開発を巡る問題。通称F3の開発には以下2通りの案があります。

国内単独開発

国際共同開発

日本政府内でもどちらにするか意見が割れているようで、2018年夏には決定すると言われていましたが延期されました。

それではここで国内単独開発、国際共同開発について見ていきましょう。



○国内単独開発


メリット

自分たちの要求に柔軟に対応できる。

・改修や追加配備などにあたり、他国の影響を受けない

・国内産業の活発化に繋がる上、雇用も創出され、経済効果が見込める。

・自国の技術力躍進が見込める。



デメリット

・戦闘機の独自開発経験がないため、技術的不安が多く残る。

・他国への輸出が無いと製造数が少なくなってしまい、機体単価が高くなる。



◇国内単独開発を巡る動き



(1998〜継続中)
各種レーダー/センサー・ステルス技術・アビオニクス技術・HMD・火器管制システムの研究

(2010〜2015)
次世代エンジン主要構成要素の研究

(2016)
ATD-X初飛行

(2013〜2017)
戦闘機用エンジン要素の研究

(2018)
IHI製 XF9-1(新型エンジンの試作品)導入



◇XF9-1について


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XF9-1


XF9-1は新型戦闘機に搭載するエンジンを実証するための研究用でIHI製です。
とは言っても、ドライ推力11t・アフターバーナー推力15t以上で実用に十分なレベルの出力です。
タービン入口温度は1800℃以上、直径は1mというコンパクトさでこの出力は画期的です。

さらに日本の得意分野である素材技術を生かしたセラミック複合材・特殊な超合金でエンジン温度を高くすることに成功しています。

従って、前回のF2開発の時に問題となった「自前でエンジンを製造できない」という問題は解決間近といったところです。



○国際共同開発


メリット

・海外の高い技術を習得できる。

製造コストが国内単独開発よりも抑えられる可能性が高い。

各国の得意分野の技術を持ち寄ることができる。

・戦闘機を製造した経験があるメーカーとの共同開発には安心感がある。



デメリット


・国内での経済効果は限定的。

・追加配備や改修には他国の同意が必要になることもある。

・核心技術がブラックボックス化された場合、技術を得られないばかりか自前での改修などが難しくなる可能性がある。

・他国との、特に性能面での妥協が必要となる場合もある。



◇国際共同開発を巡る動き


(2018)
日本政府がエアバス・ボーイング・ロッキードマーティンなど各社に情報要求書(RFI)を提出。

これに対して、ロッキードマーティンは日本政府に「F22とF35のハイブリッド型新型機の開発」を提案する。


(2018)
イギリスが開発する次期戦闘機"テンペスト"の開発に参画( つまり、共同開発したテンペストをF3として採用) する可能性がある旨が報道される。

(2019)
日本の安倍首相とイギリスのメイ首相が会談、安全保障分野での協力拡大で合意する。この中に、戦闘機開発が含まれている可能性もある。



◇「F22とF35のハイブリッド型新型機」について


*この案は廃案になった可能性が高いです。詳しくは一番下の追記をご覧下さい。(2018.12.5)

F22はアメリカ軍でしか運用されていない(機密が多すぎるため議会が他国への輸出を禁止したため)文句なしに世界最強のステルス戦闘機です。


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F22


ところが格闘戦闘能力やステルス性は非常に優れている一方、レーダーや戦闘用ソフトウェアは少しずつ時代遅れとなってきています。


F35は新しく世界9か国で共同開発されたステルス戦闘機で、格闘戦闘能力やステルス性はF22に劣ります。しかし、レーダー・ソフトウェア・コックピット周りの装備・味方と協力するための強力なネットワーク機能などはF35がF22を圧倒します。


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F35のタッチパネルがついた先進的なコックピット


つまり、機体性能が最強のF22その他のアビオニクス関連が最強のF35を掛け合わせて、いいとこ取りの新型機を作ろうということなのです。

これだけ聞くとこのプランが最高のように思えますが、次に上げるようないくつかの問題もあります。


調達費用が極めて高くなる可能性がある。

なんと1機230億円との話もあります。ちなみにF35は日本向け価格が1機あたり146億円です。


アメリカ軍がこの新型機を導入する可能性が低い

アメリカ軍も勿論、F22の後継機を欲していますが、既存機の改修ではアメリカ軍の求める新型機の性能を満たすことができない可能性が高いのです。そうなると当然、アメリカ軍優先のアメリカ企業にとって、日本オリジナル機であるこの機種の改修・性能向上はあまり利益が見込めないために消極的になってしまう可能性が高いです。つまり、将来的にこオリジナル機の性能向上改修などが滞りがちになる可能性が高いのです。


◇イギリスとの共同開発について

イギリスでは、老朽化するユーロファイター・タイフーンの更新機種として"テンペスト"の開発を計画してきました。

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ユーロファイター・タイフーン

テンペストは従来の機関砲に変わりレーザー兵器や、F35を上回る最新のアビオニクスを搭載する予定となっています。


ところで、F3開発にあたって、ロッキード・マーティン(アメリカ) の案が没になった以上、実質この案(イギリスとの共同開発)しか残っていないことは事実です。

しかし、未だ日英両国から公式なアナウンスは無いなめ、詳しい情報は分かっていません。

日本政府は2019年4月から開発作業を開始したい意向であり、開発プランの早期決定が急がれます。



結局のところは国際共同開発か


政府は2018年の防衛大綱に「日本主体での国際共同開発」を盛り込んだようです。つまり、結果的にはほぼ、国際共同開発で確定と言えそうです。

理由としてはやはり高額の開発費です。2〜3兆円の開発費を日本のGDP1%という少ない防衛予算から捻出するのはかなり困難なことであるのは容易に想像できます。


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各国の軍事費(2017)



*追記 2018.12.5

複数の報道によれば、日本政府は中期防衛力整備計画に次期戦闘機の開発方針として「国産エンジン・国産ソフトウェアを活用しつつ、"日本主体"での国際共同開発」を盛り込んだようです。

つまり、ロッキード社が提案した"F22とF35のハイブリッド"は没になったと思われます。


【更新履歴】
2018.10.15 記事投稿
2018.12.5 更新
2019.2.4 一部の古い情報を削除・修正 / 記事内容追加


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