産経新聞の報道によれば、中国空軍は国産開発のステルス戦闘機J20を実戦配備したということです。しかし、ほとんどJ20についての情報は公開されておらず、出回っている性能情報などは専門家の憶測の域を出ません。
この記事では、少ない情報の中、J20の実力について見ていきましょう。
J20とは?
機体は全長22.127m・双発エンジンで、戦闘機としてはかなりの大型機となります。また、カナード翼を備えており、高度な機動が可能な他、空対空戦闘のみならず対艦対地攻撃も可能とされていて、いわゆるマルチロール機に分類されます。
レーダーはF2戦闘機と同じAESAレーダーで、コックピットはグラスコックピット、操縦系統は、フライバイワイヤとされています。
このように、かなり洗練された機体となっており、極めて優れた戦闘能力を持つものと思われます。
第5世代戦闘機と第4世代戦闘機
前述の通り、J20は一部の人たちが言うようなポンコツではないということは明白です。
特に、従来の第4世代戦闘機(F15Jなど)では歯が立たないでしょう。
第5世代戦闘機と第4世代戦闘機の最も大きな違いはステルス性能です。第5世代戦闘機の前では、第4世代戦闘機は敵機を見つけることもできずに、一方的に相手に打ち負かされてしまう可能性が高いのです。
J20は強いのか?
○まずは、J20の良い(と思われる)点を挙げていきましょう。
・超音速巡行が可能であること。
J20は超音速巡行が可能とされています。一方でF35は超音速巡行能力が無く、その点ではJ20がF35に勝っています。
・様々な任務が可能であること。
F22は空対空戦闘能力を第一に設計されましたが、J20は対艦対地攻撃も可能で、任務の幅は広がります。ただし、F35は対艦対地攻撃能力も有しています。
・機体が大きいこと。
これは長所にも短所にもなり得る点ですが、ここでは機体が大きいことから来る長所を挙げます。まず、兵器搭載量が大きいことです。当然、沢山の武器を携行できればそれだけ有利となります。次に、機体の機能拡張が容易であることです。機体が大きければ、随時機能を拡張し易くなります。
○それでは、次にJ20の劣っている(と思われる)点を挙げていきましょう。
・機体が大きいこと。
前述の通りJ20は全長約22mと、かなりの大型機です。ちなみにF22は約19m、F35は約15mです。機体が大きくなれば当然、レーダーに映り易くなってステルス性能は低下する傾向にあります。
・カナード翼が付いていること。
一般に、カナード翼はステルス性能に悪影響を与えると言われています。このことは、アメリカの実験機X29で実証されたとも言われています。
・推力偏向パドルがないこと。
F22にはエンジンの排気の向きを強制的に変えることで、高度な機動を実現する推力偏向パドルが装備されていますが、J20にはありません。
・エンジンに欠陥のある可能性があること。
もともと、中国は戦闘機のエンジン開発に苦労していました。これまでの中国の国産戦闘機に搭載されたエンジンは、ロシアから輸入したものか、ロシア製エンジンをリバースエンジニアリングでコピーしたものばかりでした。
従って、J20のエンジン性能に疑問を持つ専門家も多くいます。さらに、航空ショー「国際航空宇宙博覧会」でJ20が披露された際に、エンジンから黒煙を吐き出していることも確認されています。
このように、様々な長所や短所が指摘されるJ20ですが、少なくともF15やF16といった第4世代戦闘機より優れていることは確実です。
しかし、現状ではF35やF22と比較すると、優劣はつけ難いのではないでしょうか。ただ、実戦配備されたJ20の情報が少しずつ明かされてくれば、いずれどちらが優れているのか分かるようになるはずです。
まとめ
現状ではJ20の情報がほとんど出回っておらず、詳しいことは分かりません。しかし、1つ言えることは相手を見くびってはならないということです。
どんな事案にも対応できるように、防衛力を磨かなければなりません。