近年、特に極東周辺では急激に軍事装備の近代化・増強が進んでいます。中国空軍のJ20戦闘機に次いで、今度はロシアがステルス戦闘機であるSu57の配備を開始したのは前述のような傾向を顕著に表したものと言えます。


*J20についての記事はコチラ↓


この記事ではSu57の実力などについて見ていきます。

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Su57戦闘機



Su57とは?


Su57とは、ロシアのスホーイ社が開発した双発エンジンの第5世代ステルス戦闘機です。ステルス性能などの特徴を持つ第5世代戦闘機は世界でも現状、アメリカのF22、アメリカ中心の国際共同開発であるF35、そして中国のJ20のみです。
(J20は性能がまだ不明なため第5世代であると断言はできません。さらに中国で開発された"輸出用機体"であるFC31を含めることもあります。)

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F22戦闘機

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F35戦闘機

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J20戦闘機

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FC31


そして、Su57はF22にも匹敵するほどのステルス性能強力なエンジン先進的なコックピットシステムなどの特徴を持ちます。


Su57の特徴は?


ステルス性能

他のステルス機と同様、垂直尾翼を斜めに傾けて取り付けたり、エアインテークなどを工夫することにより敵のレーダー波を反射しにくくしているほか、エンジンの排気口に工夫することで機体から発される熱(赤外線)を抑えたりと、敵に探知されにくくなっています。

ただし、F22よりもRCS(敵のレーダーへの映りやすさの尺度。値が大きいほどレーダーに映りやすいので探知されやすい。)は大きいと言われています。それでもF22がレーダー上でゴルフボール大程度に映ると言われる中で、Su57はテニスボール大と言われていますから、差はそこまで大きくないようです。
尚、Su57のステルス性能がF22に劣る理由は後述します。


極めて高い機動性

Su57は、ステルス性能を少し犠牲にした代償として極めて高度な機動性を手に入れました。Su57は3次元推力偏向装置を搭載しています。
3次元推力偏向装置とはエンジンの排気口に取り付けられた可動式のパドルを動かすことにより、強制的にエンジン排気の向きを変え、従来よりも急な旋回・機動を可能にする装置のことです。

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推力偏向パドル(写真は日本の先進技術実証機・ATD-Xのもの)



同じように急な機動を可能にする物として、カナード翼が上げられます。しかしカナード翼はレーダー波の反射を増大させるのでステルス性能という面から見れば、不利になります。

余談ですが、中国の最新ステルス戦闘機J20はこの推力偏向装置を搭載せずカナード翼を付けているために、ステルス性能という面で見ればSu57に分があると言えそうです。

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J20のカナード翼


様々な任務をこなせる柔軟性

F22がほぼ空対空戦闘しか出来ないのに対して、Su57は対艦攻撃・対地攻撃も可能となっています。
さらにウェイポンベイ(機体にミサイルを収納するスペース)を2つ持ち、武器搭載量もF22より勝ります。
ただし、旧東側諸国のミサイルは西側諸国のそれよりも命中率が低いため、相対的に沢山のミサイルを携行するのが伝統となっています。


人工知能システム

Su57には、e-pilot という人工知能システムが搭載されています。この人工知能はレーダー・センサーからの情報や見方のネットワークを介しての情報を統合・処理することで適切な戦術をパイロットに提供可能であるとのことです。


最高速度

最高速度はマッハ2.0ほどで、F22と同様、さらにはF35よりも勝る速度性能です。ただ、最近は戦闘機の最高速度はその戦闘での強さを決定付ける重要な要素では無くなってきてもいます。



Su57の結局の実力は?



Su57の実力ですが、やはり最近出てきたばかりの機体で性能情報なども不足していることから、まだ分かりません。
しかし、空対空戦闘(近距離のドッグファイト)ではF22に勝利する可能性も大いにあると考えています。
また僚機とのネットワーク機能などはF35に大きく劣るものの、単純な空対空戦闘能力ではほぼ確実にSu57に軍配が上がるでしょう。




差が広がる日露の空軍力



中国にも言えることですが、ロシアは近年急激に軍事装備を近代化している一方で、自衛隊は予算不足もあって装備の更新は(隣国と比べて)遅れ気味です。

航空自衛隊は早急にF4戦闘機(ベトナム戦争時代の戦闘機)の後継機種であるF35Aの配備を完了させるとともに、F15J旧式機(自衛隊のF15Jの約半分)を置き換えていく必要があります。

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F4EJ改


さらに欲を言えば、早期警戒管制機空中給油機などをさらに増強する必要があります。


日本は来るときに備えて、その準備や備えを怠らないようにしなければなりません。