*この記事は一部情報が古くなっています。記事執筆時とはかなり情勢が異なっているためです。この記事の内容は2018年2月のものです。

核ミサイル戦力の完成に全力を注ぐ北朝鮮


北朝鮮が核開発を続ける理由とはなんなのでしょうか。それはズバリ、「金王朝の独裁体制の維持」です。ご存知の通り、北朝鮮は国際規約を無視して核開発を続けるだけではなく、化学兵器や生物兵器の保持、違法な自国民虐殺、国家ぐるみのテロ行為等、何でもアリの無法国家です。それ故に、世界各国から敵視され、特にアメリカと敵対してきました。

2002年、ジョージ・W・ブッシュ大統領はイラク、イラン、北朝鮮の3国を"悪の枢軸"として非難しました。その中でも、イラクが2003年、アメリカの先制攻撃を受けた事によりフセインが処刑されるのを目の当たりにしたことで、金正日は核による武装をより強固に決断したと考えられています。


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イラクに攻め込む米兵



なぜ核兵器は"無敵"なのか


なぜ核兵器で武装することが、アメリカから北朝鮮を"守る"ことになるのでしょうか?それは、核兵器が持つ『あまりにも巨大な破壊力』故なのです。

核兵器は場合によっては、都市をまるごと消し炭にしてしまうほどの威力を持ちます。核兵器で武装して敵国を"脅す"ことで、敵国は自国への核攻撃のリスクを考慮すると、その国には実質、手出し出来ない状態なります。つまり、北朝鮮はアメリカを核攻撃できる能力を手に入れて、自国の独裁体制を守るために使おうとしているのです。言い換えれば、北朝鮮は自国の独裁体制が維持される限り、核兵器は"脅し専用"で、実際に使用することは考えていないでしょう。

なぜなら、北朝鮮が核兵器を使用することは、すなわち、金王朝独裁体制を自ら崩壊させることになるからです。



核兵器と相互確証破壊



相互確証破壊」。この言葉は少し難しく感じられますが、至って簡単なことです。前述の"核兵器による脅し"が相互に効くことで、結果的に戦争を起こさずに済むという状態を指します。理論的には、相互確証破壊が成立した国家間では戦争が起こりません。なぜなら、それらの国同士の戦争は、両方の破滅を意味するからです。

ただし、この相互確証破壊が成り立つには条件があります。それは、「確実に相手を破滅させることができるだけの核戦力」を保有していることです。北朝鮮が核兵器を数発保有したところで、相手(主にアメリカ)を怖気付かせることはできても、相互確証破壊は到底成立し得ないのです。

現在、相互確証破壊が成立しているのは、米露間だけです。ただし、近年は中国の核戦力も両国に追いついてきており、近いうちにこれら3国間で相互確証破壊が成立することになるでしょう。


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アメリカの地下式核ミサイル発射サイロ



核兵器は運搬手段と常にセット


核兵器は常に運搬手段とセットで語られます。いくら大量の核兵器を保有しても、相手国にそれを運搬する手段がなければ脅しにもならないからです。

核兵器の運搬手段は通常、2通りしかありません。それは、航空機ミサイルです。


○航空機による運搬


これは昔から行われてきました。広島、長崎の原子爆弾もアメリカのB29爆撃機により投下されました。


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米軍の爆撃機"B2スピリット"


○ミサイルによる運搬


これは、冷戦期に急激に発展しました。現在も、ミサイルが核兵器運搬の主流です。様々なタイプがあり、弾道ミサイルでは、潜水艦から発射されるSLBM、地球の裏側までも飛んでいけるICBM、中距離を狙うIRBM、核を搭載する巡航ミサイルなどです。


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米軍のICBM"ミニットマンⅢ"の発射



北朝鮮の核ミサイル戦力と予想される被害


つまり北朝鮮は、アメリカまで届くミサイルと核を配備することで、自国の独裁体制を維持しようとしているのです。

それでは現在の北朝鮮のミサイルの能力を見てみましょう。


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朝日新聞デジタルより


この表からも分かるように、北朝鮮は、火星14号を完成させれば、米国を攻撃できる能力を手に入れることができます。

現在、多くの西側専門家は、あと数ヶ月、つまり遅くとも2018年の夏までに北朝鮮はアメリカへの核攻撃能力を手に入れるだろうという見解を示しています。

一部では、「北朝鮮はミサイルに搭載する核弾頭を完成させるのにはまだ時間がかかる」との意見もありますが、2018年1月のCIAの報告書にも、「北朝鮮がアメリカへの核攻撃能力を手に入れるまであと3ヶ月」との記述もあり、どちらにしろ、我々に時間はもう残されていないのです。

次に、北朝鮮の核弾頭の能力を見てみましょう。核兵器の威力はたいてい、kt(キロトン)という単位が使われます。これは、爆発力をTNT火薬の質量に換算したものです。



つまり、10ktの威力とは、


10kt=10000t=10000000kg


のTNT火薬が爆発した威力だと言い換えることができます。


参考に



広島型:14kt

北朝鮮:50kt

アメリカ:1200kt

ロシア:20000kt

ツァリーボンバー:50000kt


ツァリーボンバーの爆発


それぞれの国の、ミサイルに搭載可能な核弾頭の威力です。


ツァリーボンバーは、ソ連が開発した世界最高の威力を持つ水素爆弾です。


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上は核兵器の威力の比較画像です。左の見えないほど小さいものが広島型、右の巨大なものがツァリーボンバーです。


北朝鮮の50kt級核弾頭の被害予測(50ktの場合):

爆風による市街地の破壊 :半径1.6km

熱線の被害半径               :半径12km

被害は非常に広範囲に及ぶのです。



まとめ


北朝鮮が核開発に固執する理由が分かっていただけたでしょうか?予断を許さない北朝鮮情勢ですが、我々日本人は、根本的な危機意識が不足しています。私たちは、公正中立な正確な事実を知ってこそ、危機意識を持ち、正しい判断を下せるようになることが必要なのです。それは、今の私たちに最も必要なことに他なりません。

ここまで、お読みくださりありがとうございました。